Azure VM Design

Azure VM 設計の基本

Azure VM は、単に仮想マシンを作成するだけのサービスではありません。 作成元、VM サイズ、性能上限、ディスク、ファイル共有、冗長化、バックアップ、災害対策を組み合わせて設計することで、安全で高可用なシステムを構成できます。 このページでは、Azure VM の設計で重要な考え方を 12 枚の図で整理します。

作成元Marketplace/カスタムイメージ/Galleryを使い分け
性能上限VMサイズがI/O・NIC・ディスク本数の上限を決める
ストレージManaged Disk/Files/ANFを役割で選定
保護Backup/Snapshot/ASRで誤削除〜DRまで
Azure VM 全体像 を解説する図(Azure VM 設計) - Azure VM は、コンピューティング(VM本体)、ディスク、ネットワーク、ストレージ、可用性、保護(バックアップ/DR)といった複数の要素を組み合わせて成立します。まずは「VM単体」ではなく「システム全体」として捉えることが設計の出発点です。
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Azure VM 全体像

Azure VM は、コンピューティング(VM本体)、ディスク、ネットワーク、ストレージ、可用性、保護(バックアップ/DR)といった複数の要素を組み合わせて成立します。まずは「VM単体」ではなく「システム全体」として捉えることが設計の出発点です。

  • この図で見るポイント
  • VMは単独では動かず、ディスク・ネットワーク・IDと連携する
  • 設計対象は性能・可用性・保護の3軸に整理できる
  • 最初に全体像を描いてから個別要素を詰める

設計時の注意点:いきなりVMサイズから決めると、後段のディスク性能・冗長化・バックアップと整合が取れなくなります。全体像を先に固定してください。

VM の作成元 を解説する図(Azure VM 設計) - Azure VM は、Marketplace イメージ、独自のカスタムイメージ(マネージドイメージ/Azure Compute Gallery)、スナップショットや専用ディスクなど、複数の「作成元」から起動できます。作成元の選び方が、展開スピードと標準化のしやすさを左右します。
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VM の作成元

Azure VM は、Marketplace イメージ、独自のカスタムイメージ(マネージドイメージ/Azure Compute Gallery)、スナップショットや専用ディスクなど、複数の「作成元」から起動できます。作成元の選び方が、展開スピードと標準化のしやすさを左右します。

  • この図で見るポイント
  • Marketplace は最短で標準OSを起動できる
  • カスタムイメージは同一構成を横展開しやすい
  • Azure Compute Gallery はバージョン管理と多リージョン配布に強い

設計時の注意点:使い捨てのマネージドイメージだけで運用すると、世代管理やリージョン跨ぎの配布で破綻しがちです。継続運用は Compute Gallery を検討してください。

VM サイズと性能上限 を解説する図(Azure VM 設計) - VMサイズ(SKU)は vCPU とメモリだけでなく、最大 IOPS・最大スループット・NIC数・データディスク本数・アクセラレーテッドネットワーク対応などの「上限」も同時に決めます。ディスクをいくら速くしても、VMサイズ側の上限で頭打ちになります。
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VM サイズと性能上限

VMサイズ(SKU)は vCPU とメモリだけでなく、最大 IOPS・最大スループット・NIC数・データディスク本数・アクセラレーテッドネットワーク対応などの「上限」も同時に決めます。ディスクをいくら速くしても、VMサイズ側の上限で頭打ちになります。

  • この図で見るポイント
  • サイズはCPU/メモリだけでなくI/O上限も規定する
  • シリーズごとに用途が異なる(下の早見表を参照)
  • 将来のスケールアップ余地も見込んで選ぶ

設計時の注意点:VM側の上限 < ディスク側の性能、という組み合わせだと投資が無駄になります。VMサイズとディスク性能は必ずセットで確認してください。

VM シリーズ早見表

どのシリーズがどの用途か

Azure VM は用途特性ごとにシリーズが分かれています。まず「どの特性が必要か」でシリーズを選び、その中でサイズ(vCPU/メモリ)を決めるのが失敗しない手順です。

シリーズ 分類 CPU:メモリ 主な用途 代表例
B バースト可能 可変 CPUを常時は使い切らない用途向け。普段は低負荷で、時々スパイクする小規模Web・開発/テスト・検証環境に最適。CPUクレジットを貯めて必要時にバーストします。 B2s, B4ms
D 汎用 1 : 4 CPUとメモリのバランス型。多くの本番ワークロードの標準選択。Webサーバー、アプリケーションサーバー、中小規模データベース、業務システム全般に向きます。 D4s_v5, D8s_v5
E メモリ最適化 1 : 8 CPUに対しメモリが多い構成。大規模データベース、インメモリキャッシュ、SAP、メモリを多く消費する分析・集計処理に向きます。 E8s_v5, E16s_v5
F コンピューティング最適化 1 : 2 メモリに対しCPUが強い構成。バッチ処理、Web/アプリサーバー、ゲームサーバー、アプリケーションビルドなどCPU負荷の高い処理に向きます。 F8s_v2, F16s_v2
L ストレージ最適化 高IOPS ローカルNVMeによる大容量・高IOPS・低レイテンシI/O。NoSQL(Cassandra/MongoDB)、大規模トランザクションDB、データウェアハウス、ビッグデータに向きます。 L8s_v3, L16s_v3
M 大容量メモリ 超大容量 数TB級の超大容量メモリを搭載。大規模SAP HANA、超大規模インメモリデータベースなど、極端にメモリを要するミッションクリティカル用途向けです。 M64s, M128s
N GPU GPU搭載 GPUアクセラレーション用。NC=AI学習・数値計算、ND=大規模ディープラーニング、NV=可視化・仮想デスクトップ・レンダリングと、目的別にサブシリーズを選びます。 NC, ND, NV
H HPC(高性能計算) 高性能 科学技術計算向けの高性能コンピューティング。流体解析、数値シミュレーション、分子モデリング、気象・地震解析など大規模並列計算に向きます。 HB, HC

設計時の注意点:シリーズ名の末尾の s は Premium SSD 対応、v3/v5 などは世代を表します。まず用途でシリーズを決め、次に世代は原則新しいものを選ぶとコスト効率と性能のバランスが取りやすくなります。

Azure VM から見たストレージ全体像 を解説する図(Azure VM 設計) - VMが扱うストレージは、OS/データディスク(ブロック)、共有ファイル(Azure Files / Azure NetApp Files)、オブジェクト(Blob)など役割が分かれます。「誰が」「どのプロトコルで」「どの性能で」アクセスするかで最適な選択肢が変わります。
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Azure VM から見たストレージ全体像

VMが扱うストレージは、OS/データディスク(ブロック)、共有ファイル(Azure Files / Azure NetApp Files)、オブジェクト(Blob)など役割が分かれます。「誰が」「どのプロトコルで」「どの性能で」アクセスするかで最適な選択肢が変わります。

  • この図で見るポイント
  • ブロック・ファイル・オブジェクトを役割で使い分ける
  • 共有が必要かどうかが最初の分岐点
  • 性能要件とコストのバランスで選定する

設計時の注意点:何でもデータディスクに載せると、共有・スケール・コストで詰まります。共有要件があるならファイルサービスを最初から検討してください。

VM 内部ディスクの構成 を解説する図(Azure VM 設計) - VMには、OSディスク、データディスク、そして一時ディスク(テンポラリ)があります。一時ディスクは高速ですが、再起動・再配置で内容が消える揮発性ストレージです。永続化が必要なデータを置いてはいけません。
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VM 内部ディスクの構成

VMには、OSディスク、データディスク、そして一時ディスク(テンポラリ)があります。一時ディスクは高速ですが、再起動・再配置で内容が消える揮発性ストレージです。永続化が必要なデータを置いてはいけません。

  • この図で見るポイント
  • OSディスクとデータディスクは永続、Managed Disk で保護される
  • 一時ディスク(D:/ /mnt)は揮発性でデータ保持に使わない
  • データはデータディスクへ分離し運用・拡張を容易にする

設計時の注意点:一時ディスクにデータやページファイル依存の重要データを置くと、メンテナンス再配置で消失します。永続データは必ずデータディスクへ。

Managed Disk の種類と性能 を解説する図(Azure VM 設計) - Managed Disk は Ultra Disk / Premium SSD v2 / Premium SSD / Standard SSD / Standard HDD などの種類があり、IOPS・スループット・レイテンシ・コストが異なります。ワークロードのI/O特性に合わせて種類とサイズを選びます。
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Managed Disk の種類と性能

Managed Disk は Ultra Disk / Premium SSD v2 / Premium SSD / Standard SSD / Standard HDD などの種類があり、IOPS・スループット・レイテンシ・コストが異なります。ワークロードのI/O特性に合わせて種類とサイズを選びます。

  • この図で見るポイント
  • 本番DBやレイテンシ重視は Premium SSD 系/Ultra を検討
  • Premium SSD v2・Ultra は容量と性能を個別に調整できる
  • ディスクサイズが大きいほど基準性能も上がる場合がある

設計時の注意点:コスト優先で Standard HDD を本番DBに使うと、レイテンシで性能問題が顕在化します。I/O要件から逆算して種類を決めてください。

ストレージ冗長化 LRS / ZRS を解説する図(Azure VM 設計) - ストレージの冗長化は、単一データセンター内で3重化する LRS と、複数の可用性ゾーンにまたがって冗長化する ZRS が基本です。ゾーン障害まで耐えたいなら ZRS を選び、可用性設計と合わせて考えます。
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ストレージ冗長化 LRS / ZRS

ストレージの冗長化は、単一データセンター内で3重化する LRS と、複数の可用性ゾーンにまたがって冗長化する ZRS が基本です。ゾーン障害まで耐えたいなら ZRS を選び、可用性設計と合わせて考えます。

  • この図で見るポイント
  • LRS はゾーン内3重化、コストは低いがゾーン障害に弱い
  • ZRS はゾーン跨ぎで冗長化しゾーン障害に強い
  • リソース種別で選べる冗長化オプションが異なる

設計時の注意点:「冗長化=バックアップ」ではありません。LRS/ZRSはインフラ多重化であり、誤削除・ランサム対策にはBackup/Snapshotが別途必要です。

Azure Files と Azure NetApp Files を解説する図(Azure VM 設計) - 複数VMからの共有には Azure Files(SMB/NFS のフルマネージド共有)と Azure NetApp Files(高性能・低レイテンシなエンタープライズNAS)があります。性能・レイテンシ・機能要件が高いほど ANF が候補になります。
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Azure Files と Azure NetApp Files

複数VMからの共有には Azure Files(SMB/NFS のフルマネージド共有)と Azure NetApp Files(高性能・低レイテンシなエンタープライズNAS)があります。性能・レイテンシ・機能要件が高いほど ANF が候補になります。

  • この図で見るポイント
  • 手軽な共有・中規模までは Azure Files が扱いやすい
  • 高性能・低レイテンシ・大規模は Azure NetApp Files
  • 必要なプロトコル(SMB/NFS)と性能ティアで選ぶ

設計時の注意点:基幹の高IOPS共有をAzure Files標準ティアで組むとレイテンシが不足することがあります。要件が厳しい場合はANFを早期評価してください。

プロトコル比較 Block / SMB / NFS を解説する図(Azure VM 設計) - ストレージはアクセス方式で性格が変わります。Block(Managed Disk)は単一VMが占有する低レイテンシI/O、SMB は Windows 系の共有、NFS は Linux 系の共有に向きます。用途とOSに合ったプロトコルを選ぶことが重要です。
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プロトコル比較 Block / SMB / NFS

ストレージはアクセス方式で性格が変わります。Block(Managed Disk)は単一VMが占有する低レイテンシI/O、SMB は Windows 系の共有、NFS は Linux 系の共有に向きます。用途とOSに合ったプロトコルを選ぶことが重要です。

  • この図で見るポイント
  • Block は単一VM占有・最速レイテンシ・共有には不向き
  • SMB は Windows 共有・ファイルサーバー置換に好適
  • NFS は Linux 共有・並列アクセスワークロードに好適

設計時の注意点:Blockディスクを複数VMで共有しようとする(Shared Disk以外で)と破損リスクがあります。共有目的なら最初からSMB/NFSを選んでください。

Shared Disk vs Azure Files vs ANF を解説する図(Azure VM 設計) - 共有の実現手段は複数あります。Shared Disk(同一ディスクを複数VMで共有し、クラスタソフトで制御)、Azure Files、Azure NetApp Files。それぞれ前提条件と得意領域が異なるため、共有の目的から選定します。
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Shared Disk vs Azure Files vs ANF

共有の実現手段は複数あります。Shared Disk(同一ディスクを複数VMで共有し、クラスタソフトで制御)、Azure Files、Azure NetApp Files。それぞれ前提条件と得意領域が異なるため、共有の目的から選定します。

  • この図で見るポイント
  • Shared Disk はクラスタ(SQL FCI等)前提で制御が必要
  • Azure Files は汎用共有をマネージドで手軽に実現
  • ANF は高性能共有・大規模並列アクセスに最適

設計時の注意点:Shared Disk はクラスタリング機構(SCSI PR対応)とセットの技術です。単なるファイル共有目的で選ぶとオーバースペック/設計過多になります。

VM 冗長化:入口から冗長化する を解説する図(Azure VM 設計) - 可用性は「VMを2台置く」だけでは不十分です。入口のロードバランサー/ゲートウェイ、可用性ゾーン配置、複数インスタンス、データ層の冗長化までを一気通貫で設計して初めて、単一障害点のない構成になります。
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VM 冗長化:入口から冗長化する

可用性は「VMを2台置く」だけでは不十分です。入口のロードバランサー/ゲートウェイ、可用性ゾーン配置、複数インスタンス、データ層の冗長化までを一気通貫で設計して初めて、単一障害点のない構成になります。

  • この図で見るポイント
  • 入口(LB/Gateway)から冗長化し単一障害点をなくす
  • 可用性ゾーンにインスタンスを分散配置する
  • アプリ層だけでなくデータ層の冗長化も設計する

設計時の注意点:アプリVMだけ2重化してもDBやファイル共有が単一だと、そこが単一障害点になります。全レイヤーで冗長化を揃えてください。

Backup / Snapshot / ASR の違い を解説する図(Azure VM 設計) - データ保護は目的で使い分けます。Snapshot は特定時点の複製(素早い復元)、Azure Backup は世代管理された定期バックアップ(誤削除・長期保持)、Azure Site Recovery(ASR) はリージョン障害に備えたレプリケーションと切替(DR)です。
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Backup / Snapshot / ASR の違い

データ保護は目的で使い分けます。Snapshot は特定時点の複製(素早い復元)、Azure Backup は世代管理された定期バックアップ(誤削除・長期保持)、Azure Site Recovery(ASR) はリージョン障害に備えたレプリケーションと切替(DR)です。

  • この図で見るポイント
  • Snapshot: 時点コピー。作業前の退避や高速復旧に有効
  • Backup: 世代/長期保持。誤削除・ランサム対策の要
  • ASR: リージョン障害に備えたDR。RPO/RTOで設計する

設計時の注意点:Snapshotだけを“バックアップ”と誤解すると、世代管理や地理冗長が不足しDR要件を満たせません。目的別に3つを組み合わせて設計してください。

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Azure VM は、VMサイズ、ディスク、ストレージ、冗長化、バックアップ、DRを一体で設計することで、安全で高可用なシステムになります。 新規構築、オンプレミスからの移行、性能・コスト最適化、バックアップ設計、可用性ゾーンを使った冗長化設計、ASR による災害対策まで、幅広くご相談いただけます。

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